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サナルっ子ヴォイス

Bクラスからのトップ高校合格・・・

宮崎一行(算数・数学)

二学期がはじまる9月。
平日本科コースのクラス分けで、Kくんは成績が振るわずBクラスに転落してしまった。数日後、お母さんとお話する機会を得た。
「息子は小学校のころからA高校に憧れていました。先日のクラス分けの結果を見て、ひどく落胆して帰ってきました。あの子がこんなにふさぎこんでいるのを、見たことがありません。あの子にはA高校に進学できる可能性はないのでしょうか」
そう言うお母さんも、気落ちしているように見えた。そうなのか、それほどA高校に熱い思いを抱いていたのか・・・そうであれば、こうしてはいられない。一刻も早く作戦を練らなければ。
「今のままではかなり難しいです。スタートも大きく出遅れました。しかし、本人次第で可能性がないわけではありません。まずは本人の気持ちを確かめ、態勢を固めましょう」

そして、Kくん本人とじっくり話をしようと、授業後、彼を事務室に呼んだ。
単刀直入に、志望校について話がある、と切り出した。
「本当にA高校に進学したいのか。今の力では、A高校はまず無理だ。水泳ですばらしい成果を収めてるんだから、それを生かす道もある。志望校を水泳の強いほかの高校に変更するか、またはどうしてもA高校に行きたいなら、学力をそれに見合うレベルまで上げなきゃいけない。ただ、ほかの受験生はみんな、とっくの昔に受験勉強に本腰を入れている。今から始めるとしたら、半端な勉強じゃ追いつけないだろう。口先だけ『A高校に行きたい』と言ってても、何も実現しない。キミは、どうするんだ」
と水を向けた。彼は言葉少なに
「僕は絶対にA高校に行く。A高校で水泳をやる」と断言して帰った。

二学期、それまでと打って変わって勉強に打ち込む彼の姿があった。しかしKくんが本気で勉強し始めたといっても、受験生にとってそれが当たり前の時期。周囲の誰もが本気で受験に向かっているわけだから、状況はそう簡単に打開できない。9月の模試、10月の模試、定期テスト、いずれも代わり映えのしない成績。学校の面談では、
「学力でA高校は絶対に無理。水泳での推薦も枠がない。私立高校なら、水泳で推薦できるけど」
と言われてしまう。しかし、彼の意志は変わらない。A高校進学への執念を、静かに激しく燃やし続けた。

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