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サナルっ子ヴォイス

教室のドラマ

闘います、チャンスがあるならば

一週間後、Hくんの母親と話す機会があって、意外な事実を知る。
「あの子は三人兄弟の末っ子で、私も甘やかしすぎました。先日、先生に叱られたそうで、反省しているようです。
実は、あの子は沼津東高校に行くことが小さい頃からの夢なんです。
まだHくんが小学生のときに風邪をこじらせて入院したことがありました。その時のお医者さんに、たいへん親切にしていただき、Hくんも医者という職業に憧れを持ったようです。だから「(地域トップ高の)沼津東高校に行って、次に東大に行って、そして医者になるんだ』といつも言っているんです。今回の通信簿は彼にとっていい薬です。今後もご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、どうかよろしくお願いします」

中三に進級したHくんは、すっかり落ち着いた。テニス部でも主将として、持ち前の明るさと元気で、チームをまとめ上げた。
授業中も真剣で、模試の偏差値もぐんぐん伸びた。だが、沼津東高校にあと一歩届かない。当然、進路面談でも衝突したこともあったが、彼は最後まで、自分の意志を貫いた。

「沼津東高校は僕の夢です。闘います、チャンスがあるならば」
中三の二学期の通信簿は、4がたくさん並び、数学はついに5になった。彼の必死になっている態度が学校の先生にも伝わったのだ。一年前の弱々しいHくんの面影はみじんも感じられない。

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