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サナルっ子ヴォイス

教室のドラマ

通信簿という壁

「先生、受かりました」
「よかったなあ、おめでとう」
私は腕がちぎれそうなくらい何度も握手、握手、握手。
今日は静岡県公立高校の合格発表の日。ここ沼津東高校でも合格発表が行われていた。
Hくんにとって最良の日である。
わがままで、怠惰で、人に迷惑ばかりかけていたHくん。その彼がこんなことを言った。
「サナルじゃなかったら、夢を諦めるとこでした。」

私がHくんと出会ったのは、彼が小学六年生のときである。算数が大好きで、友達同士でテストの点数や計算の速さを競い合っていた。Hくんはいつも友達の輪の中心にいて、リーダー的な存在だった。しかし、まだ幼さも残り、授業中に調子に乗って、私が注意を促すこともたびたびあった。
小学校のうちは、それでもよかったのだが、中学校ではそうはいかない。
いきなり壁にぶち当たる。定期テストでは優秀な成績を修め、学年上位には確実にランクインできたものの、通信簿は数学を除いてオール3、数学だけ4というありさま。提出物を出さない、不規則発言は直らない。実力はあるが、通信簿に表れない典型だ。
私も早く彼には成長して欲しいという気持ちでいっぱいだったが、その道は険しかった。

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