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愛知県公立中高一貫校 適性検査 分析(2025年度)


国語


ワンポイント分析

単なる文章読解ではなく、複数の資料や文章から、必要な情報を早く、そして、正確に読み取る力が求められました。
適性検査Ⅰ大問1(4)は、六つの段落から成る文章の内容を、段落一つ分に要約した【まとめ】の文章の説明として、適当でないものを選ぶ問題でした。文章の内容理解と、【まとめ】のためのくふうをとらえる必要がありました。また、大問2(4)は、身近な自然に関するパンフレットについての会話文の穴うめ問題でした。文章の流れを正確につかむ論理的思考力が問われました。
適性検査Ⅱ大問1(1)②では、共通する話題についての二つの文章に対する四人の感想のうち、どちらの文章にも書かれていないことをふくむ発言を選ぶ問題でした。文章全体を理解したうえで、四つの感想をていねいに確にんする必要がありました。
以上のことから、複数の資料の内容を正確にとらえる読解力と、論理的思考力の向上が、適性検査のこうりゃくには不可欠だと言えます。

Pick up!

適性検査Ⅰ大問3(3) 解答:A オ B ア E エ
会話文の穴うめ問題は、「指示語」や「キーワード」に注目することが基本です。加えて、読み取ったそれらを活用するための論理的思考力が重要です。
( E )は、直前に「さっそく練習してみよう」とあるものの、後に続く会話文が、一度保留された「手を出すタイミングの話」につながることから、「練習の前に解決すべき問題がある」と指てきしているエが入ります。全体の流れをつかみつつ、話題の切りかわりも意識して解き進めましょう。

算数


ワンポイント分析

適性検査Ⅰでは、大問2(3)体積、大問3(1)円周(2)組み合わせ・単位量あたりの大きさが、適性検査Ⅱでは、大問1(3)時刻表・組み合わせ、大問3(1)~(3)プログラミングが出題されました。
適性検査Ⅰ・Ⅱともに30点中11点分が算数の問題で他教科とも均等な配点でした。体積以外の問題は適性検査に向けた対策をしていなければ正解することは難しかったでしょう。問題の意図を理解し、与えられた条件を整理する力が必要でした。高得点をとる為の十分な対策をしていても,難度が高い問題をすべて解くには,時間配分を考える力も必要だったと言えるでしょう。
今回の適性検査から、適性検査ならではの論理的思考力や理解力を必要とする問題が出題されることがわかりました。4年生、5年生で「与えられた条件を整理する力」「難しい問題を粘り強く考え抜く力」を養い、6年生で「その力を使って、入試形式の問題に慣れていく」ことで適性検査に対応できる力が養われていくでしょう。

Pick up!

適性検査Ⅰ大問3(2)② 解答:イ
「考える力」「速く計算する力」などが必要な,公立中高一貫校の適性検査らしい問題でした。
表と会話をもとに、次のような手順で解きましょう。
1)学年と50m走の速さを見ながら走る順番を決めます。速い人ができるだけ長いきょりを走るようにすることを考えます。
2)1)が決まったら「単位量あたりの大きさ」の考え方から,それぞれの人がそのきょりを走るときにかかる時間を計算します。
3)2)で計算した時間の和が求める答えです。

理科

ワンポイント分析

6年生までに学習した知識の定着、複数の知識を組み合わせる応用力、実験の結果から考察する思考力がバランスよく問われました。
適性検査Ⅰ大問2(1)では、スイッチの切り替えにより、乾電池が直列つなぎ・並列つなぎに変わることで、電磁石に流れる電流の大きさが、どう変化するかを判断する必要がありました。また(2)では、「メダカのせびれ・しりびれによるおすとめすの区別」といった、知識の定着が問われる問題も出題されました。
適性検査Ⅱ大問2(3)では、ものが燃える条件として「酸素が必要である」ことは学習しているものの、「燃焼によって発生した二酸化炭素が、燃え方に影響するか」という部分にまで踏み込んでおり、【表1】の結果を元に考察する必要がありました。
これらの出題傾向から、知識の習得はもちろん、初見の実験に基づく出題に対応するために、「なぜその実験にその操作が必要なのか」といった根本理解が求められます。

Pick up!

適性検査Ⅰ大問2(1) 解答:ア
スイッチAのみを入れた場合とスイッチCのみを入れた場合は、電磁石に対して乾電池1個がつながった状態で、同じかたむきになります。スイッチAとCを両方入れると電磁石に対して乾電池2個がつながった状態になりますが、並列つなぎのため電磁石を流れる電流の大きさは乾電池1個のときと変わらず、かたむきも同じになります。スイッチBのみを入れると電磁石に対して乾電池2個が直列につながった状態になるため、電磁石を流れる電流が大きくなり、かたむきが大きくなります。

社会

ワンポイント分析

小学校の授業で習うこと以外に、今、世の中で問題となっていることなどについての出題もありました。知らないことであっても、与えられた表や資料をもとに読み取り、正解を導きだす力が求められました。
適性検査Ⅰ大問1の(1)の歴史の問題では、「平安時代」についての知識が問われています。 (2)では「桃の節句」や「七夕」といった年中行事という誰もが知っている知識も問われており、ただ難しいだけという出題ではありませんでした。
適性検査Ⅱ大問1(4)や大問2(5)では、4つの資料を読み取る力が必要とされる出題でしたので、複数の資料を読み取る問題に慣れていないと、難しかったかと思います。また、「カーボンニュートラル」など最近の社会情勢も、ニュースなどを確認しておく必要がありました。
これらのことから、適性検査の対策としては、「知識」「資料を読み取る力」「思考力」「判断力」「知識を使いこなす力」などをバランスよく身につけておくことが必要です。

Pick up!

適性検査Ⅱ大問2(5) 解答:イ
日本の二酸化炭素の排出量は、【資料3】から、1990年は205億t×0.051=10.455億t、2021年は336億t×0.03=10.08億tと計算できます。差は10.455億t-10.08億t=0.375億tとなり、二酸化炭素の排出量が減った割合は、0.375億t÷10.455億t=0.0358…で、約3.6%減ったとなります。2030年は、351億t×0.022=7.722億tで、1990年の約4分の3となります。また、カーボンニュートラルについては【資料4】中に同様の内容を読み取ることができます。

総評

今回の適性検査は、単なる知識量ではなく、知識をもとに論理的に考える力を問う内容でした。
検査ⅠとⅡは共に18ページで15問を出題しており、題意をすばやく把握する読解力がなければ、制限時間内に全問解くのは難しかったと思われます。

適性検査Ⅰでは、基礎的な読解力と数理的思考力が中心に問われました。
与えられた文章やデータから正確に必要な情報を抽出し、それを活用する力が求められる問題が多く、特に複数人の会話形式の問題は、同形式の問題練習が不足していた受検生には難度が高かったと推測されます。

適性検査Ⅱでは、複数の資料やデータを基に考える能力が試されました。
情報を整理し、本質を見抜く力が求められ、多面的な視点でのアプローチが必要とされる構成でした。
設問には歴史的・社会的背景、統計データ、現代の課題が複雑に絡み合い、暗記中心の学習では対応が難しかったと言えます。

総じて今回の適性検査は、知識を活用して問題を解決する素養があるかを見極めるもので、新設された附属中学校が目指す教育方針を反映したものでした。

来年度以降の受検生は、基礎学力の定着に加え、与えられた情報を迅速かつ的確に分析し、多面的に活用する力が求められます。
そのような力を、小学校の教科書の内容を反復するだけで養成することは難しいでしょう。
合格を勝ち取るには、専門的な知識と経験を持つ教師による指導と、専用の教材は不可欠といえるでしょう。


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