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ホーム > 佐鳴予備校について > 教育への提言~OPINION > 塾教師の矜持を問う

塾教師の矜持を問う


学習塾経営者が学校の定期テストの問題を大量に入手し、それがインターネットサイトを通じて販売されていたという報道がありました。入手方法の是非や著作権等法律的な見地からの問題、テスト問題を入手した生徒とそうでない生徒の不公平など、さまざまな観点から論議を呼んでいます。
しかし、私たちはこのニュースの背景に、私塾が抱える根の深い問題を感じます。

学力の伴わない高得点など無意味

実は、累年の生徒の学力差を測るため、定期テストに過年度と同じ問題を出す学校も存在します。ということは、あらかじめ生徒が過去問題とその解答を知れば、設問の意味をまったく理解していなくとも、答えを丸暗記することで正解してしまいます。
事実、塾内で生徒から集めた過去の学校の定期テスト問題を、翌年の塾生にコピーして配ることを経営の売りにし、それが評判を呼んで生徒を集めている私塾が存在します。「あの塾に行けば過去問題をもらえ、点数が取れて得をする」と。
しかし、そうやって挙げた高得点に、いったいどんな意味があるでしょう。事前にテストと同じ問題を入手して解かせるなどというのは、下劣なカンニング行為に他なりません。そのような欺瞞を続けたところで、真の実力を問われる高校入試で志望校合格を勝ち取れるはずもありません。まして、塾教師が生徒にそれを薦めるなど、以ての外です。
私たちも他のまっとうな塾と同じように学校の定期テストの傾向と対策のために、問題を集めて分析を行いますが、そのような道理に外れた指導は行ってきませんでしたし、これからも行うことはありえません。

あらためて学力テストの意義を問いたい

そもそも、定期テストは、学校の先生方がその時点の生徒の学力を把握し、弱点があれば補強するために行うものです。前述のような行為は、先生方の教育指導を混乱させるだけで、生徒の本質的な学力向上を妨げる要因にしかならないのです。
私たちは、そういったまやかしのような方法で見かけの成果を挙げようとする私塾の存在を、以前より苦々しく思っていましたし、またそれによって生徒や保護者が学問の本質を見失い、低水準の成果主義に踊らされる状況にも胸を痛めていました。

授業では、学業成就の理想を追いたい

私たち私塾で教鞭を執る者は、授業に理想を描くべきです。自分の指導によって生徒の心に学習意欲を湧き上がらせ、その結果が深い理解と成績向上という形で実を結び、そしてそれが彼らに人間的成長をもたらす、そういう授業を志すべきではないでしょうか。
サナル生の飛躍的な学力向上も、圧倒的な合格実績も、教師の情熱と、それについて来た生徒たちのたゆまない努力あってこそ。教育に真剣なればこそ、難しくて遠回りな方法なのかもしれませんが、私たちはこれからも「本物」を追い求めて参ります。
佐鳴予備校理事長 佐藤イサク